道北の旅 (2)鉄路を辿って名寄へ

札幌、朝5時台の起床。
時間の限られた社会人の身、北海道入りする時は飛行機などという”チート”を使ってしまったけれど、ここからは陸路で少しずつ北へと歩みを進めていこうかと思います。

18きっぷ」を急いで買って、札幌6時39分発、札沼線石狩当別行に乗車。
今日も天気があまりよろしくないな…。

 石狩当別までの札沼線は、なんの変哲もない都市近郊路線。数年前に電化されており、朝夕は20分間隔を確保。
けれども石狩当別の次の北海道医療大学前駅からは、1日の列車本数がわずか8本、非電化・単線の典型的なローカル線と、その性格が極端に変わります。

 

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石狩当別で2両編成の新十津川ディーゼルカーに乗り換える。

来年3月末に廃止が予定されているので、土日は鉄道ファンが殺到しているのかと構えていたけれど、そこそこゆとりがあって一安心。

1日に8本と聞くと、いったいどんな深山幽谷の過疎地を走ってるんだ!?と思うのが人情ですが、実は札沼線、水田地帯が広がる石狩平野の端を延々と走っているだけ。
それ故道路が冬季通行止めになることもなく、JR函館本線の各駅へのアクセスも容易なため、鉄道の存在意義も次第に失われていったのでした。

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屯田兵たちが切り開いた豊穣の大地をひたすら眺めながら列車は進む。
木々が生い茂る林を抜けることも意外と少なくなく、時折開拓前の原生林ってこんな感じだったのかなと思いを寄せる。

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石狩月形駅にて朝一番の対向列車と行き違い。
ここから先は1日に6本の運行に。

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そして終点の新十津川駅まで到達する列車は1日わずか1本、つまり乗ってきた列車のみ。終電は午前10時。なので「終電、なくなっちゃった…///」の難易度は日本で最もイージーな部類に入るというわけです。だから列車で新十津川に来るのは鉄道ファンか物好きぐらいのもので、そうしてホーム上はカメラを持った人たちの独壇場と化す。
でも、ここの駅舎、いい佇まいですね。遅咲きのアジサイが文字通り花を添える。
なくなっちゃうのは残念だな。

この地においてもう一つ忘れてはならないのが、ここが「新」十津川であること。
昨年2月に訪れた奈良県十津川村からの集団移住によって成立したことから「新十津川」と名付けられていて、ああ、あの山に閉ざされた陸の孤島で、大災害に見舞われた村民たちが、今度は北のだだっ広い大地で開墾に精を出したのかと想像すると、想像を絶する苦労が偲ばれます。
時間の都合上、そのことは町役場前の「望郷の碑」でわずかに認めることができたぐらいでしたが、資料館もあるようだし、いつかまた来てみたいな。

路線バスで滝川駅に抜ける。所要時間はたったの15分。石狩川を渡ればすぐそこが滝川市街。
新十津川町民もアクセスするターミナル駅のわりに、駅前が寂れていたのが気掛かりですが。

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特急「カムイ」で旭川へ。
最近の特急車両は自由席でも快適だー!枕部分が柔らかいのが個人的に気に入りました。

旭川からは最北の地、稚内に向かう宗谷本線に入ります。
1両編成の快速「なよろ」号。自分のいるボックスシートで酒盛りが始まる。
車窓はひたすらに米どころ。小説で有名な塩狩峠も何てことなく越えてゆく。

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名寄よりちょっと手前、風連駅で下車。
あまり先を急がないというのが今回の旅行のモットー、今日は名寄止まりなので、スパイス感覚で途中下車も加えてみる。

で、何で風連で降りたかというと、道の駅が近くにあるからなんですね。
鉄道駅周辺より賑わっていることもある「道の駅」、実は積極的に立ち寄るべきスポットなのかもしれないなと。
風連市街を抜け、道の駅「もち米の里☆なよろ」にやってきました。

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ここでお昼ご飯、ジンギスカン定食を注文。

ん?肉の上に載っているこの白いものは…?
お・も・ち!

何でも、ここ風連はもち米の名産地なんだとか。
それはいいんだけど、さっき旭川で「甘納豆三角もち」をつまんだところ。そこに来てのおもちonジンギスカン。実際に食べた正直な感想、そんなに相性が良いとは思えない(笑)
そしてお腹が重くなった。

ふたたび風連駅に戻り、次の普通列車で名寄駅へ。
どうでも良いのですが、アクセントは「なよ↑ろ↑」なんですね。「なご↓や」と同じ読みしてました。

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鉄道好きとして興味をそそられたので見に行ってみました、名寄市立北国博物館に展示されている「キロマキ」。いわば蒸気機関車時代の除雪車です。
単に蒸気機関車1両だけでも現代の鉄道車両にはない存在感に気圧されるのに、雪をかき寄せる車両に雪を吹き飛ばす車両、それに動力となる機関車を2台つなげた編成なので、重量感が圧倒的。こんなにもデカくてゴツい鉄の塊。

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ロータリー車の窓から顔を出す乗務員の気分で。
廃線跡が先へと続いているのが、また雰囲気があっていい。そう、ここは旧名寄本線の路線上だったりもします。

ちなみに、博物館の本体の方にも行ってみたのですが。
ちょっと内容が薄っぺらいかなあ。もっとこう、「名寄らしさ」みたいなものは無いんだろうか。行政のつまらないPR映像流してどうするんだ。

外に出ると…おや、日差しが出てきた…!
北海道上陸後、初めての晴天だ!

まだ16時ですが今晩の宿に向かいます。
名寄駅前より幌加内行のバスに乗車。こちらは旧深名線の代替交通として現在もJRが運行している路線です。

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田んぼが広がる平野部を抜けて、走ること少々。
かつて駅のあった「天塩弥生」停留所で下車。

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いや、今も駅がありました。
草原の中に、ぽつんと立つ1軒。
知る人ぞ知るお宿「天塩弥生駅」。

 往時の駅舎がそのまま残されている訳ではありませんが、かつての天塩弥生駅の趣を残しながら、今は食堂兼ゲストハウスとして営業されています。

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静かな、いいところでした。

…この宿での出会いと交わした会話は、自分にとってとても貴重で、もしかしたら今後の人生の選択に僅かばかり影響を及ぼすことになるかもしれないとさえ感じていますが、それはまた別の物語。いつかまた、別の時にはなすことにしよう。

☆8月3日にUPしました。