紀伊半島 山と海の旅 〔2-1〕朝もやの熊野本宮に参る

2月16日。今日は紀伊山地を離れ、太平洋岸に出ていきます。
でもその前に、この辺りでもう一箇所訪れておくべき場所がある。

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7時過ぎのバスで、少し十津川方面に引き返す。

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まだ日が昇るか昇らないかの時分、やってきたのは熊野本宮大社です。

全国に広がる熊野信仰、その総本山が「熊野三山」と呼ばれる3つの神社(本宮大社、速玉大社、那智大社)なのですが、その内の一つがここ、本宮大社
さっそく木立の中、人気のない境内の石段をとことこ登っていきます。

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傍らに佇む「祓戸大神」。
拝殿の向こう、石だけがずでんと鎮座しているのには、何だか勝手に神々しさを感じてしまいます。

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本殿の前まで来ました。ここから先は撮影禁止のようです。

熊野権現造と呼ばれる建築様式を採る本殿は、一見見慣れない妙な姿に写ります。
何せ、左から平入の入母屋造1棟と、妻入の入母屋造2棟が並んでいて、平入の方には2柱、妻入にはそれぞれ1柱の神様が配され祀られている。春日造もびっくりの非対称っぷりなのです(よー分からんという人は画像検索せよ)。
何でこんなことになったのか、まことに神道の世界は複雑怪奇ですから、深く立ち入るのはさておいて、とりあえず全部に頭を下げておきます。かような信心深き衆生には、きっと慈悲あまねく慈悲深き熊野大明神のご加護が得られることでしょう。千年王国はすぐそこさ。

さて、意外とすっきりまとまっているように思われる本宮大社ですが、実はこれで終わりではありません。

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参拝を終えた者たちの前に浮かび上がる、もう一つの鳥居。
この奥の鳥居こそ、熊野本宮大社の歴史を語るにあたって欠かせないもの。

少し近づいてみましょうか。

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朝もやの中に浮かび上がる巨大な鳥居。
ここは大斎原(おおゆのはら)と呼ばれ、本宮大社のかつての社地にあたります。

1898年に十津川の村々を襲い、北海道の地に「新十津川」を成立させた大水害は、さらに下流、当時は熊野川の中洲であったこの土地にも襲いかかります。
熊野本宮大社はかつてこの地に上四社、中四社、下四社、計12の神様を祀っていましたが、水害によって上四社を除く社殿群の多くが流出、被害を免れた上四社のみが、丘の上にあたる現在の場所に移されて存続した、といいます。

この大鳥居は平成になってから作られたものですが、背後には社殿を失ったかつての境内が、いまだに神域として大切にされ続けています。
杉林を抜けると、いくつかの石祠が残されているだけのただただ広い空間。空き地か何かと見紛うばかりですが、それでもこの場所にこそ意味があるんだろうなあ…。

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熊野川の堤防から。
かつては大斎原の反対側にも音無川という川が流れており、参拝客は川で足を濡らして神域に入るのが通例だったようです。

本宮大社を後にして、今度こそ新宮を目指します。
8時過ぎ、乗り込んだのは熊野交通のバス。「日本一の長距離路線バス」とは違う路線ですが、経路は被ってるので、まあ同じようなものです。

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コンクリート工場だったか採石場だったか。スケールがでかい。

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十津川改め熊野川も、ここまで来ると雄大な眺めに。
川のこちら側は和歌山県、向かい側は三重県

河口はもうすぐそこです。
最後に川と別れて一つトンネルを抜けると、そこは新宮市街。

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熊野三山の一つ、熊野速玉大社をちらりと見やれば…

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ついに新宮駅に到着!
ザ・日本の里山を延々と体感してきたあとに突然のヤシの木。そうか、太平洋岸まで来たのだな…。

新宮駅を発着するJR紀勢本線の線路は、一方は三重を経て名古屋方面、他方は串本、白浜を経て大阪方面に至ります。
今から乗り込むのは大阪方面の下り列車。

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JR東海カラーの見慣れた気動車をチラ見して、特急「くろしお」に乗車。

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海だ!
先に見える半島は、次なる目的地、太地町です。

☆3月8日にUPしました。